挑発のコツ


セルジュ・アリミ(Serge Halimi)

ル・モンド・ディプロマティーク統括編集長

(仏語版6月号論説)

訳:土田 修



« 原文 »

 まっとうな理由もなく軍縮の国際協定を非難する国家が共同調印国を武力攻撃すると脅すことがありうるだろうか? その国が気まぐれかつ好戦的な態度で、同調するかさもなければ手ひどい制裁をうけることになると他国に要求することがありうるだろうか? その答えは米国なら「イエス」だ。

 結局のところ対イランの態度硬化を正当化するため米国が主張している理由を検討してもまったく時間の無駄だ。米国国家安全保障問題担当大統領補佐官ジョン・ボルトン氏と米国国務長官マイケル・ポンペオ氏が外交官と情報局に対して「口実を見つけろ、戦争は任せてくれ」といった類のことを言ったとしても不思議はない。

 こうした思惑の中でボルトン氏は経験も筋道も兼ね備えてきた。2015年3月、イラク侵略への熱意が彼の影響力を弱めた時、「イランの爆撃を止めるため、イランを爆撃せよ」という見出しでニューヨーク・タイムズ紙のコラム記事を書いた。その記事の中で彼はイランは決して核計画の放棄をめぐる交渉に応じないと主張し、こう結論付けた。「米国は破壊という入念に準備された任務を遂行できたが、イスラエルだけが必要なことを行える。(……)その目的はイランの体制を変えることだ」(1)

 数カ月のちにイラン核合意が米国を含むあらゆる大国間で調印された。国際原子力機関によるとイラン政府は誠実に条項を守っていた。だが、ボルトン氏は自説を曲げようとはしない。2018年にボルトン氏はイスラエル政府やサウジアラビア王国よりさらに好戦的な態度で「政権交替」をまたもや主張し始めた。「米国の公式な政策はイランにおけるイスラム革命を40周年を前に終結させることであるに違いない。それによって米大使館員が444日間人質として留め置かれたという米国の汚名はそそがれる。そして当時人質になった者たちが新しい在イラン米大使館開館のテープカットを行うのだ」(2)

 トランプ大統領は米国の侵略戦争を意味する「政権交替」を引き起こす政策には反対だ。なので最悪の事態はまだ避けられそうだ。だが、この平和はあまりにも弱々しい。というのもトランプ氏が、自ら任命した補佐官たちが拳を振り上げているのを抑えられるかどうかにかかっているからだ。(従属するか強制された)西欧の国々や大企業を使って経済的にイランの首を締めている米政府は、経済制裁によってイラン政府が屈服すると言い張っている。実際、ボルトン氏もポンペオ氏もこうした戦略が北朝鮮やキューバで失敗したことを知らないはずがない。それゆえ彼らはむしろ、米国側の「反撃」が正当化される〝攻撃〟だと胸を張って言える〝イランのリアクション〟に期待している。

 攪乱、歪曲、工作、挑発。イラクやリビア、イエメンに続いてネオコンどもは次なる獲物を探し求めている。



  • (1) John Bolton, « To stop Iran’s bomb, bomb Iran », The New York Times,26 mars 2015.
  • (2) John Bolton, « Beyond the Iran nuclear deal », The Wall Street Journal, New York, 15 janvier 2018.

(ル・モンド・ディプロマティーク 仏語版2019年6月号より)