技術革新と地政学の急変 

電気自動車、新たな資源・環境問題と中国の台頭


ギヨーム・ピトロン(Guillaume Pitron)

ジャーナリスト
著書にLa Guerre des métaux rares. La face cachée de la transition énergétique et numérique,
Les Liens qui libèrent, Paris, 2018.


訳:村上好古


 資源・環境問題への切り札として「熱狂的に」歓迎され、電気自動車への転換が急速に進もうとしている。しかし、実はあまり目立たないところで、このことが新たな資源・環境問題、さらには地政学上の大きな問題を引き起こしている。これを戦略的に利用し、世界経済での存在感を高めようとしているのが中国であり、関係者から警鐘が鳴らされ始めている。[日本語版編集部]

(仏語版2018年8月号より)


 2009年以来、ルノーグループのカルロス・ゴーン社長[訳注1]は、「電気自動車万歳」と宣言してきた(1)。アメリカのテスラグループの社長イーロン・マスク氏も2013年、「太陽光のおかげで、永遠に、ただで車を走らせることができる」と、同調した(2)。中国では、李克強首相が、「経済成長を高めるとともに環境を守る」手段としてこの新たな乗り物の到来を称賛した(3)。時速100kmを超える自動車記録を電気自動車の「ラ・ジャメコンタント号」(La Jamais-Contente訳注2])がイル=ド=フランスのアシェールで初めて達成した時、すなわち1899年から1世紀余りを経て、電気自動車への関心がこうしてよみがえっている。

 地球上には今日、人口1千万人以上の都市が47あるが、急速に進むその都市化によって大気汚染が進み、40億人の都市住民の大きな心配の種となり、何百万人もを死に至らしめている。さらにディーゼル車の危険性を隠ぺいしたメーカーの欺瞞は、内燃機関型エンジン車[訳注3]に対する不信を一層高めた。気候変動に関するパリ協定への署名は、温室効果ガスの排出量を減らすための行動について世界的な枠組みを固めたが、排出量の14%は今日、輸送部門が占めている。

 100kmを3リットル[33.3km/L]で走る内燃機関型エンジン車に成功の見込みが窺われない以上、いったいどのエネルギーに向かうことになるのか。半世紀にわたり、新たなエンジン方式への探求は、熱狂的であると同時に短命で終わる過熱状態を幾度ももたらした。水噴射システムVix(1970年代)、ディーゼルエンジン(1980年代)、微粒子除去フィルター(1990年代)、バイオ燃料(2000年代)等々。燃料電池の出番への期待が高まるが、それまでの間、非常に優れた代替テクノロジーとして電気駆動方式が今、提示されている。

 「電気は、制御しやすいエネルギーで、生産用のインフラはすでに整っています」と、EY[アーンスト・アンド・ヤング、世界4大会計事務所・総合コンサルティングファームのひとつと言われる]の自動車担当部門の責任者ジャン=フランソワ・べロルジェ氏は説明する。「要するに、電気自動車は炭素を排出しないと考えられているのです」。最近の調査によれば、10人に8人以上のフランス人は、[ハイブリッドではない]完全な電気自動車は移動による環境への影響を減らすことができると考えている(4)。現在[当記事執筆当時。ユロー氏は8月に大臣を辞任]環境連帯移行大臣であるニコラ・ユロー氏によって設立された「自然と人間のための基金」(la Fondation pour la nature et l’homme<FNH>)は同じことを確言しており、はるかに悲観的な分析がいくつもある中で[訳注4]、「電気自動車は環境問題解決の決め手であり、エネルギー転換の実現と本質的に結びついている(5)」と言う。

イノベーションに向けた税制優遇と支援

 2017年9月に中国が、おそらく2030年~2040年ごろにガソリンエンジン車の販売を禁止することを企図した予定表を作成すると発表した。これが決定的な契機になり、大部分の西欧諸国が追随した。ドイツとオランダは2025年以降の内燃機関型エンジン車の販売停止を予定に入れた。フランスでは2017年7月にユロー氏が、同じ目標を2040年と設定した。インドでは、政府は「ガソリンや軽油で走る車」の2030年以降の販売は「1台も」望んでいない。大都市はしばしばこれを急かす役に回る。2017年、パリ、ロサンゼルス、オークランド、ケープタウンといった12の大都市の市長は、2025年までにバスの調達を排出ガスゼロ(zéro émission)のものに限ること、そして2030年までには、それぞれの市の主要地区に二酸化炭素を排出する車の進入を禁止することを約した(6)

 一部の国は、行動を促すため税制を利用し、この戦いに全力を注いでいる。アメリカでは、電気自動車の取得者は7,500ドル(6,400ユーロ)まで減税を受けられる、一方ドイツでは、10年間は保有税の免除がある。奨励策は規制にも及ぶ。カリフォルニア州や中国のいくつかの都市では、電気自動車は公共交通手段用のレーンを利用できる。充電用施設網の整備も必要だ。アメリカでは2017年で47,000カ所以上、中国では214,000カ所近くになる。また、技術革新のための援助も無視できない。イギリスは2017年に、電気自動車用バッテリー分野での準拠国になることを狙った計画に2億4,600万ポンド(2億7,600万ユーロ)を投じると明らかにした。

 エコロジーという徳目に彩られたこの転換により、成長に向けた新たな担い手が確保されたことになる。2017年に電気自動車は世界の自動車市場のわずか1%しか占めていない(ハイブリッド車も同じく1%)が、同じ年にフランスでは、自動車全体の販売の伸びが5%を下回るところ、17%増加した(7)。バッテリー容量の増加、生産コストの大幅な低下、車種の広がりが相まって、部分的あるいは完全な電気自動車が、もっとも楽観的な見方では、2025年までにヨーロッパでの販売の43%、中国では36%を占め、その時世界市場は820億ユーロに達すると見込まれている(8)


© Elsa Delmas & Cécile Marin

 環境問題の万能薬であり、富と雇用の源泉でもある「完全電気自動車」への転換は、一見すると自明のことだ。ところが意外にもこうした期待に対し、2017年9月のフランクフルト・モーターショーにおいて、PSA(プジョー・シトロエングループ)の社長カルロス・タヴァレス氏は、「狂乱」、「近視眼的」、「過熱」と、反論した。「こうした騒ぎや混乱は、我々に不利にはね返ってくる危険がある。[こんな状態の中では]我々が間違った決定をしてしまうだろうから」。彼が案じているのは、「30年たつうちに、見かけを裏切るようなことがあれこれと見つかる」といった事態であり、バッテリーのリサイクル、あるいは「希少一次素材の管理」に関する問題に言及したのだ(9)

 電気自動車へのこの転換は、実際、我々の天然資源消費が変化することを意味している。今日我々の交通手段は石油に大きく依存しているが、約30のレアメタルに依存することが次第に明らかになるかもしれない。ガリウム、タンタル、コバルト、白金族、タングステン、希土類など。電子的、光学的、磁気的な面等で並外れた特性を有するこれらのレアメタルを、ひとつの鉱山はほんのわずかしか埋蔵していない。これらなしでは、市場にある電気自動車はほとんどすべて動かないと言われる。たとえば、たった1台の車で、その磁石の中には3キログラム半もの希土類(15種類の金属元素を含むもの)、バッテリーの中には10から20キログラムのコバルトと、それほど希少な鉱物ではないが60キログラムの金属リチウムが使われている。さらにもうひとつ、フロントガラスには、擦り傷を防ぐためにセリウムが使われている。運転席では、液晶画面にユウロピウムとセリウムが含まれている……。

 ところで、レアメタルの採掘と精製の工程は、非常に環境汚染的なものだ。その実態は、この資源の大部分を産する中国を見ると一目瞭然だ。北京の北西に位置する内モンゴル自治区は希土類の採掘と精製で世界随一であるが、この地域の景観は、いくつもの露天掘り鉱山によって荒れ果てた姿となっている。この地域の西に位置する巨大な包頭鉱山の工場の近くには巨大な人造貯水池ウェイクァングダム[訳注5]があり、鉱石処理工場からの有害な排水が、ここに受け入れられたあと間欠的に黄河に溢(あふ)れ出している。

 この貯水池に接する瓦と煉瓦(れんが)でできた集落ダラハイでは、退去を決めていない数千人の住民が周辺の精製工場からの有害排出物を息で吸い、飲み、食べている。リ・シンシアさん(54歳、女性)は、この地域は「癌の村」と呼ばれるようになったのだと、健康診断を受けたあとで我々に告白した。「私たちは、有毒な空気を吸っていることを知っています。寿命がそう長くないということもです」。1トンの希土類を精錬すると少なくとも200立方メートルの水が汚染される(10)。したがって一般に鉱山地域の農民や住民は深刻な水不足にさらされている。銅の世界一の産地であるチリでは水不足がひどく、鉱山事業者は、淡水化した海水を2026年までには50%使うよう求められているという(11)。ちなみに淡水化の工程は大量にエネルギーを消費する。レアメタルの採掘、精製による汚染の例はチリ、コンゴ民主共和国(RDC[英語表記ではDRC])、アメリカさらにはカザフスタンでも観察され、意外なパラドクスを生み出している。すなわち、クリーンさを誇る自動車を実用化するには、「汚い」金属の採掘が必要なのだ。しかも、そのことが目に触れたり、カメラにさらされることもほとんどない。

 この資源は、産業的にリサイクルすることも代替物を見つけることも殆どできないが、情報がないことから、大部分の西欧社会はその素性を知らない。鉱山が遠く離れていることがその主要な理由だ。1990年代、厳格なエコロジー規制のせいで西欧の採掘業者や精製グループは希土類の生産活動を停止するか他に譲ることを余儀なくされた。自ずとしてこの嫌われ仕事を引き取る候補となった中国は、当時、産業発展に向け野心的な戦略に取り組んでいた。自国の環境システムの破壊を代償にすることも厭わなかったのだ(12)。「中国の国民は、希土類を全世界に供給するため自分たちの環境を犠牲にしたのです」と化学会社ソルベイ(Solvay[本社はベルギー])の中国支社で働く希土類の専門家ヴィヴィアン・ウー氏は認める。したがって、企業が喧伝するゼロエミッションの乗り物と、「クリーン」な車の評価とは、極めて慎重に行うことが求められる。確かに電気自動車は走行時に炭素を排出することはない。しかし、その環境負荷は、それが使われる時からさかのぼって、材料となる素材が採掘され、精製され製品に組み込まれるその場所に移転されているのだ。[映画]『メトロポリス』(Metropolis)のことが思い起こされる。フリッツ・ラングが1927年に同名の映画に描いたものだ。そこでは、甘やかされ怠惰なブルジョア階級の富を産み出すために、労働者階級の人間が有害な煙を吸っているのだ。

アメリカはWTOに提訴

 同様に、電気自動車への転換は産業面でいくつもの厄介かつ重大な影響をもたらす可能性がある。PSAのタヴァレス氏はフランクフルトで、「一世紀にわたり中国は我々にロイヤリティを支払いながら内燃機関を追い求めてきた」ことを思い出させた。ところが我々の電気自動車に対する熱狂とそのテクノロジーの開花は、こうした西欧の先進性を無にし、中国に「自動車分野で思いもかけぬ役割を演ずる」機会を与えることになり得る。エネルギー関係の地経学者[訳注6]ローラン・オルバトゥ氏はそう解説する。

 中国ほど野心的に電気自動車戦略をつくり上げた国は他になかった。2015年の「メイド・イン・チャイナ2025(中国製造2025)」計画は、電気自動車用バッテリーを産業上の優先課題に据えた。その上この国の巨大な国内市場は、規模の経済(スケールメリット)が働き、製造業者の競争力を確保するのに資する。そして、この新たなスタートを勢いづけるのに、必要とされる希土類の生産に期待を寄せることができる。なぜなら、西欧は、鉱山汚染を遠ざけると同時に、電気自動車用の戦略資材の独占をそのライバルに引き渡してしまったのだ。中国は、世界中で使われるマグネシウムの94%、天然黒鉛の69%、さらにタングステンの84%を産出する。何種類かの希土類に至っては、その割合は95%に達する。

 中国はこの地位を利用し、一部の資源は外国の客に20%まで割高にして売っている。「アメリカのメーカーを不利にしている」と非難して、アメリカは2016年に世界貿易機関(WTO)に提訴した。さらに、2000年代になって以降、中国政府はモリブデン、蛍石、マグネシウム、さらに黄燐といった各種素材の輸出を減らしている。欧州委員会によると、電気自動車に搭載されるおびただしい数の金属の供給がすでに「危惧される」状況にあるという。つまり、供給ストップの危険があるというのだ(13)

 この策略のおかげで、西欧の企業はジレンマに直面する。供給不足のため生産が減少する危険を負いつつ、生産設備をそのまま移動させずにおくのか。それとも一次資源への無制限のアクセス権を確保するため中国に生産を移すのか。内陸地域からの安い労働力、元(通貨)安政策のおかげで割安の資本コスト、それに中国市場の大きな潜在力、これらの要因に引かれてすでにいくつかの企業が決断に至った。カーティン大学(オーストラリア)のダドリー・キングスノース教授によれば、「希土類へのアクセス権は、工場移転のモチベーションを一段と高める要因になった」

 1994年来、中国に拠点を設ける外国の企業グループは、持ち分が50%以下の合弁企業を設立しなければならない。この法人形態は、中国同業者への西欧からの技術移転を加速し、彼らの遅れを挽回した。中国はさらに、この30年の間に、磁石――ネオジムやその他各種の希土類を使って工場生産され、大部分の電気自動車用モーターの生産に不可欠なもの――の工業化技術と特許を掠め取ったのだ[訳注7]。

 その結果はこうだ。1990年代の終わりに、日本、アメリカ、ヨーロッパがその市場の90%を分け合っていたが、今や中国は生産の4分の3を支配している。磁石は包頭で製造されているが、内モンゴルにあるこの人口密集地域は、住民から「希土類のシリコンバレー」と呼ばれている。この表現は意味のないものではない。というのも中国人の論理では、「鉱物を所有する者は同様に工業生産のノウハウを支配する」というのだ。

 中国政府はこの論理をバッテリー分野で再現した。中国は世界のコバルト生産では弱小勢力にとどまる。この鉱物はリチウムイオン蓄電池の製造に不可欠で、RDCコンゴが世界需要の60%に応えている。その価格は2016年から今は3倍以上になっており、やむなくBMWやフォルクスワーゲンは、ここ数カ月その供給確保のため鉱山グループとの直接交渉に取り掛かっている。しかし、バッテリー用素材の工業化に関する中国の専門企業であるJingmen Gem(荊門格林美[格林美<Gem>の荊門市所在の子会社])は、2018年3月15日、英国・スイス合弁の貿易商社グレンコア[訳注8]を通じRDCコンゴで毎年生産されるコバルトの3分の1を購入するという3年契約を公表した。Wanxiang(萬向集団)、BYD Auto(比亜迪汽車)、Contemporary Amperex Technology Co. Limited(CATL、寧徳時代新能源科技)といった中国のバッテリー製造業者は、こういう具合にしてコンゴ産コバルトの80%を我が物にしている。

© Elsa Delmas & Cécile Marin

 このペースで行くと、2020年に中国は、世界で販売される電気自動車5台のうち4台分のバッテリーを生産することになるかもしれない。グレンコアの社長であるアイヴァン・グラゼンバーグ氏の予想では、バリュー・チェーン[訳注9]上で位置を高めることに関するこの国の[上述の]論理どおり、中国は「全世界にバッテリーを単に売るだけでは満足せず」、「バッテリーを自国で製造し、電気自動車を全世界に売る」ようになる可能性がある(14)。市場分析を見るとこの説はうなずける。今や世界の10大電気自動車メーカーのうち6社は中国企業なのだ。すなわち、BYD(比亜迪汽車)、Shanghai Automotive Industry Corporation(SAIC、上海汽車集団)、Dongfeng Motor Corporation(東風汽車集団)、Geely(吉利汽車)、FAW Group(第一汽車集団)、それにBeijin Automotive Industrie Holding Co.(北京汽車集団)だ。2017年10月11日、欧州委員会は、中国の優位を食い止めることを目的とする「バッテリーに関するヨーロッパ連合」の結成を宣言した。

「電気自動車では、先が見えない」

 とりあえずこう自問することができる。内燃機関型エンジン車から電気自動車へ転換することは、西欧諸国がヨーロッパで1,260万人、アメリカで725万人を雇用するこの業界に、通商上の脆弱さを無防備に作り出しつつあるということではないか。レアメタルとエネルギーに尋常でない需要を生み出していることを目の当たりにすると、[自動車に関する資源・環境問題の]「一気に全体的な問題解決を図るには、電気自動車では先が見えず行き止りでしかない」と、コンサルタント事務所Carbone4の共同設立者であるジャン=マルク・ジャンコビッチ氏は見ている。その技術上の限界、特に走行距離に難点があることを考慮すると、電気自動車は市街地の短距離移動に適しており、内燃機関型エンジン車や水素自動車は、ガスや合成燃料で走る車と並んで長距離移動に都合がよい。日本のトヨタグループは燃料電池車であるミライと、新型の[家庭]充電可能ハイブリッド車であるプリウスに賭けている。

 「エネルギー、(中略)、技術、法律、地政学の各面で360度全方位的なアプローチが必要だ」と、この3月のジュネーブ国際自動車ショーでPSAのタヴァレス氏は訴えた(15)。なぜなら電気自動車は、単にその利用者の日常生活を変えるにとどまらず、世界経済の新たな転換を早めることになるかもしれない。今それは、中国を利するということだ。



  • (1) « La voiture électrique : fantastique ou polémique ? », Codeclic, 28 septembre 2009.

  • (2) Adam Vaughan, « Elon Musk : Oil campaign against electric cars is like big tobacco lobbying », The Guardian, Londres, 24 octobre 2013.

  • (3) Manny Salvacion, « Premier Li urges creation of more charging sites for EV », Yibada, octobre 2015.

  • (4) « Les Français et l’impact environnemental de leurs déplacements » (PDF), Harris Interactive, Paris, février 2018.

  • (5) « Le véhicule électrique dans la transition écologique en France » (PDF), Paris, décembre 2017.

  • (6) « Déclaration du C40 pour des rues sans énergie fossile » (PDF), C40 cities, 2017.

  • (7) フランス自動車工業会(Comité des constructeurs français d’automobiles <CCFA>)による。

  • (8) « Future of e-mobility », Discussion Document, Roland Berger, Munich, 23 janvier 2018.

  • (9) « Imposer la technologie du véhicule électrique est une folie, estime Carlos Tavares », Autoactu, 13 septembre 2017.

  • (10) Oscar Allendorf, « Dwindling supplies of rare earth metals hinder China’s shift from coal », TrendinTech, 7 septembre 2016.

  • (11) Juan Andres Abarca, « Seawater use in Chile’s mines grows by a third », BNAmericas, 16 juin 2016.

  • (12) Lire Olivier Zajec, « Comment la Chine a gagné la bataille des métaux stratégiques », Le Monde diplomatique, novembre 2010.

  • (13) 欧州委員会の、EUにとって重要な第一次資源リスト(2017)についての公表資料(2017年9月13日)による。 

  • (14)  Muryel Jacque, « Glencore n’hésiterait pas à vendre ses mines de cobalt à la Chine », Les Échos, Paris, 21 mars 2018. 

  • (15) Jean Savary, « Voiture électrique, un nouveau fiasco environnemental ? », Caradisiac, 12 mars 2018. 


  • [訳注1]原語の呼称はPDG(役員兼最高経営責任者〈フランス〉)であるが、翻訳にあたっては、この後に出てくるCEO(最高経営責任者〈アメリカ、イギリス〉、イーロン・マスク氏、アイヴァン・グラゼンバーグ氏の場合)、Président du Directoire(執行役会長〈フランス〉、カルロス・タヴァレス氏の場合)とも、制度、組織上の違いはあるもののいずれも実質的に経営上のトップであることから「社長」と表記した。

  • [訳注2]「決して満足しない」という意味。アシェールはイル=ド=フランス地域圏イヴリーヌ県のコミューン。なお、当時の自動車のスピード記録更新競争は、電気自動車が主役であった。 

  • [訳注3] 原文(thermique)では、燃料(ガソリン、軽油など)の燃焼によって発生するエネルギーを動力に変えるエンジン車という説明が別途付されている。実際上、従来の内燃機関型のエンジンを搭載した車を指しているとみられるため、「内燃機関型エンジン車」と表記した。なお当記事では以下同様の表現が用いられているが、各国の規制などにおいては、燃料の種類などに応じ、より詳細な定義が行われている場合があることには留意の要。

  • [訳注4] 同時掲載の別記事(著者は同じ)による指摘では、原料の採掘から放電現象まで、電気自動車を走らせるための諸エネルギーを積算した多くの研究があるが、温室効果ガスの削減効果についての見方には相当の幅(判定不能とするものから、ヨーロッパで55%、フランスでは80%に及ぶとするものなど)があり、各国のエネルギー事情によっても違う。フランスなどでは原子力発電への依存を前提にしたものがあり、温室効果ガスの排出は抑制されるが、別の問題を引き起こすことになる。また、特に製造工程での環境汚染を考慮すると、環境に与える影響面では従来型のエンジン車と差はないとする見解もある。さらに、エネルギーコストが安くなるとかえって車が増え、走行距離も増えるといった見方や、バッテリー劣化への対応の問題、また、そもそもバッテリー重量の大きさを考えると(体重70キログラムの人を運ぶテスラの車体重量は2トンを超す)人間の移動手段として非効率、などの論点が挙げられている。

  • [訳注5]「ウェイクァング(尾鉱)」は鉱滓という意味。ダムは全長11.5㎞、Baotou Iron and Steel Group (包頭鋼鉄集団)の所有。

  • [訳注6] 地理的諸条件をもとに安全保障などの国際秩序構築や国家の戦略を論ずるのが「地政学」(géopolitique)とされるが、ここ数年のアメリカや中国などの外交姿勢・国際情勢の変化から、こうした「地政学の後退」も指摘されている。これに対し、経済的手段を通じて自国の経済的利益や政治的立場に有利な規範やルールを打ち出しつつ、あらたな政治経済秩序を形成しようとするのが「地経学」(géoéconomie)と言われる(公益財団法人日本国際フォーラム「『地経学』時代の日本の経済外交」成果報告書、2018年3月)。

  • [訳注7] ちなみにネオジム磁石は日本企業の発明であり、2000年代前半までは日本が最大の生産国であったという。

  • [訳注8] 実務上の本拠はスイスのバールながら、登記上の本社はジャージー(英国王室属領)に所在。

  • [訳注9] バリュー・チェーンは、相互に依存、連関する経済活動を、モノではなく、各経済段階で生産・移転される価値の連続・集積としてとらえる考え方。たとえばひとつの商品の価値は、企画、部品調達、製造、輸送・販売、アフターサービスなど各経済段階の価値の総体として表され、各要素の最適・効率的な配分を求めて経済活動が行われることになる。1990年代から使われ始めた言葉と言われるが、グローバル化・国際分業の進展に合わせて近年特に注目、研究されるようになってきている。 チェーンの中では一連の経済行程の中で、素材、組み立て作業よりも企画、開発、対顧客サービスなどの価値が相対的に高く評価される一般的な傾向があることから、ここでは、中国がチェーンの中で低価値部門(鉱物)からこうした高価値分野(工業生産)に経済活動の力点を移動する(「鉱物を所有する者は同様に工業生産のノウハウを支配する」)ということを指しているものとみられる。




(ル・モンド・ディプロマティーク 仏語版2018年8月号より)