目前に迫る無人トラックの到来

トラック運転手 —— 消えつつあるアメリカの象徴


ジュリアン・ブリゴ(Julien Brygo)

ジャーナリスト
著書Boulots de merde ! Du cireur au trader.
Enquête sur l’utilité et la nuisance sociales des métiers
,
La Découverte Poche, Paris, 2018.(オリヴィエ・シランとの共著)


訳:村松恭平


 アメリカという国を支える多くのトラック運転手。最も一般的な職業の一つであり、映画や小説などを通じてこの国のシンボルにもなっているが、彼らの労働条件はますます悪化しているようだ。今や、アメリカ産業界はトラック運転手不足に直面している。彼らはまた、技術革命がもたらす“無人トラック”の到来にも脅かされている。シリコンバレーの開発競争によって、近い将来、トラック運転手という仕事そのものがなくなるかもしれない……。[日本語版編集部]

(仏語版2018年8月号より)

© Julien Brygo

 「フリーのトラック運転手を募集しています!」。ロングビーチ(カリフォルニア州)の企業、XPOロジスティクスのそうした看板は芝の上にも置かれており、入口にいつも同じ広告を貼り出しているアメリカのトラック運転手用レストランを連想させる —— 「当店、従業員募集中」。その商品輸送の多国籍企業(2015年にはフランス企業のノルベール・ダントルサングルを35億ドルを超える額で買収(1))は、コンテナをウォルマートやアマゾン社といった大規模商品流通の企業グループに届ける運転手を見つけるのに苦労している。この国のほぼすべてのトラック運送会社と同じように、XPOロジスティクスはトラック運転手が5万人不足するのを懸念している。

 ゲートの前で、ストライキの準備をするために運転手たちが群がった。4年間で6回目のストライキだ。2018年5月のその日の午後、サントス・カスタネダ氏はアメリカで最大の労働組合の一つ、チームスター(2018年には140万人の組合員を数え、そのうち60万人がトラック運転手)の仲間たちとともに、XPOがフリーランスという形態につけこむことに抗議する請願書への署名を運転手たちに呼びかけていた。彼はこの形態を“偽装された賃金労働者”[訳注1]とみなしていた。「私たちはカリフォルニア州の最高裁に5回告訴しました」とカスタネダ氏は語る。「署名活動を行い、集団訴訟を起こしました。ヨーロッパの労働組合の仲間たちと一緒に世界規模の大キャンペーンを始めさえしましたが、何の結果も得られませんでした。XPOは、運転手たちを社員として認めようとしないのです!」


© Julien Brygo

 この倉庫では、150名の運転手の大半が、自分のトラックをリース契約でXPOから購入した。この手法によりXPOは、運転手に対して仕事道具のトラックをクレジットで売ることができる。運転手は月払いで数年にわたって返済した暁には晴れてトラックの“幸福な所有者”となる。事故を起こさなければ、ではあるが。XPOの経営者、ブラッドリー・ジェイコブス氏(2018年において26億ドルの資産を所有)は労働組合が好きではない。仲間を助けるためにやって来たバスの運転手のダニエル・デュアルテ氏は、「チームスターはこの企業では認められていないんだ」と説明する。「それに経営者たちは、俺たちの信用を失わせるために、そして俺たちのことを会社のカネを盗もうとしているマフィアだと新入りの運転手たちに説明するために、ジミー・ホッファ(2)時代のチームスターの話を利用しているんだ。管理職にチームスターの組合員だと見なされると、仕事をもらえない。新入りたちは、自分たちの権利を主張するのを恐がっているんだ」


© Julien Brygo

 16時。カスタネダ氏が倉庫のゲートの前に引かれた白線を指差す。「もしこの線を越えたら、奴らは警察を呼ぶ。ほら、あそこにいるのがスト破りだ」。ピータービルト社製の荷台のないトラックが、その白線を越える。運転手はブレーキを踏み、指でピストルの形を作って組合員の集団のほうに向け、それからアクセルを踏んで倉庫の中に入っていった。「企業はあいつらのことが大好きなんだ。幼稚な反組合活動員たちで、アメリカにはたくさんいる。あいつらは俺たちに代わって仕事をしてボーナスを受け取っているんだ」

 闘うトラック運転手、スト破り、鉄柵の裏に隠れる経営陣……。私たちは、ノーマン・ジュイソンの映画『フィスト』(FIST, 1978)の冒頭シーンにいるかのようだった。1937年のクリーヴランドを舞台とするこの映画では、若きシルヴェスター・スタローンが演じるジョニー・コヴァックが経営者たちに対し、労働時間を削減させ、“陸路の苦役労働者”の賃金を上げさせるために何度もストライキを起こす(3)。XPOの社員たちは、あの時代のトラック運転手たちが経験したのと同じ壁に突き当たっているようだ。それは、労働組合に対する抑圧という壁だ。ただし、投資銀行の分析や企業のプレスリリースを読むと、アメリカではまもなく、トラック輸送のシナリオに新たなアクターが登場することになる。それは「自律走行」トラックというもので、その名前が示す通り、走るのに人間はまったくいらなくなるようだ……。


© Julien Brygo

 2013年に出されたモルガン・スタンレーのレポートによれば(4)、XPOの運転手たちのような港湾内で働く運転手が、まず最初に無人トラックによって代替されるという。その後、「2020年から2025年の間に」レベル4の自律走行トラックが登場する見込みだ。そのトラックは単独で走ることができるが、前もって走行地図が作成された区間においてだけで、問題が起こった時に備えて人が乗ることになる[訳注2]。完全なる自律走行車、すなわち、運転席に人が乗っていないレベル5の車は「2030年頃に」普及する見込みだ。モルガン・スタンレーは「たとえば港のような、閉じられた敷地内における[無人トラックの]使用が最初に実現され、続いて高速道路での走行、そして最後に、市街地と高速道路の両ゾーンで使用されるだろう」と予想し、この部門の自動化による節約は年間1,680億ドルにのぼると推算していた。その試算の内訳は、労働力の削減によって700億ドル、回避できる事故費用で360億ドル(5)、燃料節約で350億ドル、そして「生産性の向上」で270億ドル、ということだ。他の金融アナリストたちはさらに楽観的な態度を示している。

 このモルガン・スタンレーのレポートでは、輸送業界の規制緩和による犠牲者の筆頭として、ロングビーチのトラック運転手のような、リース契約を行った運転手たちが挙げられている。「そんなことには絶対ならないよ」とアンドレ・ハート氏は信じたがっている。彼は17年前から商品輸送トラックを運転している。「すでに道路は非常に危険なんだ……。コンピュータには目がついていない。カメラがあるとしても、毎日ヒヤッとさせられることが起こるんだ」。腰まで伸びたドレッドヘアで、サングラスをかけたジェラルド・ダニエルズ氏がそこにやって来た。「いや、もちろん、そうなるさ」と彼は言う。「ロングビーチのコンテナターミナルでトラックに荷物を積んでいるのは、もう人間ではないんだ」。GPS(global positioning system)によって誘導されるコンバイン、スマホ操作で芝生の上を動き回る芝刈り機、さらには、みずから移動する家庭の掃除ロボットのように、未来のトラックは「自律走行」になるとシリコンバレーは予想する。

 アメリカでは350万人がトラック運転手として働いている。トラック運転手はこの国の50州の大半において最も一般的な職業であり、その数は小売店の従業員や教師、そして(顕著に増加している)ソフトウェア開発者を凌いでいる(6)。180万人以上の運転手 —— その93%が男性 —— が長距離を走行し、消費材の約70%を運んでいる(その他は鉄道によって運ばれている)。アメリカ合衆国労働統計局によれば、2017年のトラック運転手の平均賃金は年収4万2,480ドルだった。この部門の離職率は示唆に富んでいる。ほとんどすべての運転手が、運送会社に入っても半年後には辞めていくのだ。


© Julien Brygo

 トラック運転手は長い間、アメリカの大いなる物語の重要な登場人物だった。財と人の自由な流通の発祥地であるこの国の未来を約束する人物だ。アメリカ中西部出身で、「トラックを運転することをずっと夢みていた」という作家のリッチ・コーエンは、トラック運転手は「大衆文化の偉大な人物であり、カウボーイとしても無法者としても称賛されていました」とまとめる(7)。音楽だけでなく映画もまた ——『フィスト』から『トランザム7000』(Smokey and the Bandit, 1977)、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(Mad Max: Fury Road, 2015)まで ——、アメリカ人の想像の中にトラック運転手の特別なイメージを作り上げた。儲け話に鼻が利き、同僚同士で独特な言葉を用いて話し、自分に有利になるようパワーバランスを崩すために仲間たちを結集させることができるような、ずる賢いタイプのイメージだ。サム・ペキンパーが制作した『コンボイ』(Convoy, 1978)では、あるジャーナリストがマーティン・ “ラバー・ダック”・ペンウォルド —— クリス・クリストファーソンによって演じられた —— に対し、他の数百人ものトラック運転手が加わった警察への抵抗運動の目的について尋ねた時、彼はこう答えた。「トラックの集団を作るのは、常に前に進み続けるためだ」

 カリフォルニア州のある企業に勤めているアンドレ・リベイロ氏は、「俺たちは“現代のカウボーイ”なんかじゃなく、むしろ決して互いに交わることなく、みずからの道をゆく野良猫みたいなものだ」と要約する。ミネソタ州のサービスステーションに彼は車を駐めた。他の数万カ所のサービスステーションとよく似た光景だ —— クレジットカードで支払うガソリンスタンド、カウンターの後ろには非正規の従業員、熱せられた棒の上で回り続けるソーセージ、トラック運転手たちがコップに注いで持ち歩くコーヒーのサーバー。「最も耐え難いのは、待つことや孤独、自分の考えに閉じこもってしまうことだ。疲労もある。すべての運転手があなたにこう言うだろう ——“俺たちは限界まで追い込まれているから、自分たちを危険人物だと感じている”。俺は、毎日11時間も運転しているんだ。11時間も運転席に座りっぱなしだ! カフェインを摂取したり、滋養強壮ドリンクを飲んだり。新製品が出るとそれをすべて試しているよ。そして、睡眠薬を飲んで眠るんだ」

 そこから1,500キロメートル離れた場所で、72歳のポール・スコット氏が、西部劇の雰囲気に包まれたニューメキシコ州のサービスステーションの近くに黄色の絵柄が入った黒のトラックを駐車させた。酒場、診療所、刑務所などが見える。彼は50年前からUnited Parcel Service(UPS)で配達の仕事をしている。UPSは世界最大の荷物運送会社で、43万5,000人の従業員を抱えている —— しかし、かの有名な「UPSのストライキ」の結果、アメリカにおける組合の最後の全国的勝利の象徴にもなった(8)

 1997年には、スコット氏はチームスターに加入していた18万5,000人のストライキ実行者の一人だった。彼らは2週間の道路封鎖によってUPSの経営陣を屈服させた。この事件は、1981年にストライキを行った1万1,359人の航空管制官を解雇するというロナルド・レーガンの決定によって心にまだ傷が残っていたアメリカ人の労働者階級を再び元気付けた。「俺たちはあのストライキのおかげで良い労働条件、良い給料、立派なユニフォームを手に入れたんだ。今日、どんなことがあってもこの仕事を変えようとは思わないね。俺たちは年に8週間の休暇があって、とても良い年金、健康保険、年収10万ドルにも達する好給料をもらっている。フリーの運転手たちは、自分自身ですべての費用を支払いながら、週に60時間以上も働いて週1,200ドルしか稼いでいない。彼らと比べると、俺たちはとても運がいい」。UPSが最優秀ドライバーに褒賞を与えなくなったことを、スコット氏は特に残念がっている。彼らは以前は(30年間勤続すれば)洗濯機やバーベキューセットを手に入れることができた。「そういったことはすべて終わってしまったんだ」と彼はため息をつき、こう言葉を続けた。「俺の家から遠くない場所で最近、一人の女性がウーバーの自律走行車にひき殺されたんだ(9)。無人トラックというアイデアは好きじゃない。運転手は常に必要だ。こうした事態をトランプが放っておかないことを願っているよ」


© Julien Brygo

 しかし、そのアイデアはすでに現実となっている —— ドナルド・トランプ氏はそれにまったく反対していない。「現代のカウボーイ」は今日、シリコンバレーの創意に富むスタートアップ企業家たちのエクセル表で赤字で示されている。休憩、8時間の睡眠、給料、そしてトラックを集結させるストライキの行使をチラつかせることによって、アメリカのトラック運転手は商品輸送コストの40%を占めている。したがって、銀行部門、郵便部門、通信、小売業、音楽産業、ジャーナリズム、旅客輸送の自由化がなされた後、シリコンバレーは次なるターゲットのリストにトラック運転手を記入した。2016年10月、ウーバーに買収された企業オットーは、約200キロメートルの行程で初めて自律走行で(バドワイザーのビールケースの)商業配達を成功させたと発表した。それ以降、すべてが加速した。ウーバー、グーグル、テスラの他に5社のスタートアップ企業が、信頼性のある最初の無人トラックのシステムを開発しようとしのぎを削っている。

 この5社の中で、スタースキー・ロボティクス(テレビシリーズの『刑事スタスキー&ハッチ』に由来している)の社長であるステファン・ゼルツ=アトメイチャー氏は、小さい会社ながら強大なライバルに立ち向かっている。サンフランシスコの執務室で、ビジネススクールの学位を取得したこの若者 —— 下あごだけに細い髭を生やし、頰がふっくらし、目はギラギラしている —— は「トラック運転手という職業に従事したことは一度もない」ことを私に念押しした。彼は2,150万ドルを調達し、遠隔で操作されるトラックのシステムを開発するために、2015年以降、エンジニアをわずか30名だけ雇用した。アマゾン社の倉庫とコンテナターミナルの間を行き来するトラックの姿を彼は想像している。このアメリカという国をアマゾン社の自動化された巨大物流網に変えるには、道路標識に数多のバーコードを記載する必要もなければ、アスファルトの下に電子チップを埋め込む必要もまったくない。カメラとレーダーとモーションセンサーをたくさん搭載し、インターネットに接続されたトラックは、まずは「複雑な」ルートを走行する際にはオペレーターによって遠隔操作され、その次のステップとして、高速道路を自律走行モードで走る見込みだ。「我々は技術的にはほとんど準備ができています」とゼルツ=アトメイチャー氏は断言する。「この3年間で我々はかなりの進歩を遂げたのです」

 「成功しなかったエンジニア」とマネジメント系雑誌の記者の間に生まれた息子である彼は、そのアイデアを、2012年にアフガニスタン北東部で開始された米軍による「大打撃」(Haymaker)作戦から得た。「ドローンがアフガニスタンを攻撃しているのをテレビで観ながら、“飛行機を遠隔で操作することが可能なら、大型トラックでも同じことができるはずだ”と私は考えました」。彼はスタースキー・ロボティクスのエンジニアやオペレーターとともに、2018年末までに最初の実地テストをフロリダ州で実施する準備をしている。「はじめは人々は警戒心を持つでしょうが、すぐに盲目的な信頼へと変わるでしょう。まっすぐな道を10時間ずっと運転するような、一日中同じことを繰り返す仕事は人間にはまったく向いていません。コンピュータの方がそうした仕事にずっと向いています」。したがって、彼はアフガニスタンでの米軍よりも大きな成功が得られると考えている。「あなたが私に話しているトラック運転手たちは、自分の仕事が決して自動化されないだろうとまだ思っていますが、1980年代のブラジルにおけるゴムの採集者を思い起こさせます。彼らは自分たちが機械によって代替されることはないだろうと確信していました」

 去る5月15日、ラスベガス —— チームスターの年金基金がジミー・ホッファによって流用され、その街の一部が作られたと言われている —— では、自律走行トラックをテーマとしてチームスターの組合幹部の間でラウンドテーブルが開かれた。「非常に深刻」な問題だということで、会合は非公開だった。この組合の「協議会7」に所属する戦略部長のダグ・ブロック氏はその数日後、「有益な会合だったが、もう一度集まらなければならない」と私たちに語った。「我々はテクノロジーに反対しているわけではありません。しかし、運転手たちの生活条件を悪化させたり、彼らをロボットの補助役に追いやることで仕事をさらに苦痛なもの、意味のないものにすることにテクノロジーを使ってはなりません。それから、スタースキーの社長のように、“準備ができている”と断言する人は皆、嘘をついていると言えます。インフラも整っていませんし、コンピュータも用意できていません。アメリカの人々も準備ができていません」。そして、チームスターも……。「たくさんの無人トラックが道路を走る日は、まだまだ先でしょう」とブロック氏は断言する。

 しかし、テクノロジーの発展はこの“アスファルトの労働者”の生活をすでに変えている。現代のトラックでは大抵、市民バンド(公共通信専用のラジオの周波数帯)がスマートフォンに、手書きの運行計画書がデジタルタコグラフに置き換わった。地図は運転席から姿を消し、GPSが使われるようになった。そして、クルーズコントロール(自動運転車のレベル1)によって、脚や足先の筋肉をリラックスさせることができる。アイオワ州のトラック運転手で、指と腕に「イチかバチか」という文字のタトゥーを入れているマイク・デヴィッドソン氏は、「グーグルの登場によって、トラック運転手同士の連帯がなくなり始めた」と振り返る。「俺がこの仕事を始めた時は、道路状況とかそういったことを他の運転手に聞くために市民バンドを使う必要があって、話すしかなかったんだ。今は、“OK、グーグル”と言うだけで十分さ」


© Julien Brygo

 900台分の駐車スペース、トラック運転手のための博物館とスーパーマーケットがあるアイオワ80は「世界で最も広いパーキングエリア」として知られ、運転手たちにとってのある種の“スウィートホームタウン”(我が家)となっている。訪問客は、機械で回る軸の上できらきらと輝くトラックに迎え入れられる。そこにはこう書かれている ——「あなたがそれを買えたのは、トラックが運んできてくれたからだ」。運転手たちは運動療法士のところで背中のマッサージを受けたり、歯医者で虫歯を治療したり、エリプティカルバイクでトレーニングをしたり、テレビのある部屋でうとうとしたり、さらにはショッピング通路で、「アイオワの本物の芝」でできたサンダルの手触りを確かめることができる。「アメリカ全土の中で最高のシャワーがここにはあるのよ」と耳にヘッドフォンをつけたトーニャ・ブルーワー氏が断言する。「トラック運転手は汚くて意地悪、というイメージが古くから残っています。私は毎日、あるいは少なくとも2日に1度は体を洗っています。運転中は誰も困らせてはいません!」。ブルーワー氏はアメリカ最大のトラック運送会社の一つ、スウィフト社に雇われている。「私はトラックを毎月25日、毎日11時間運転し、週に約1,200ドルを稼いでいます。家には月に4日帰っています。夫と私は愛し合ってはいますが、月に4日も会えばそれで十分です。私は一人でいることが大好きです。私にとって、それは自由なのです。じゃあ、そろそろ出発しないと!」


© Julien Brygo

 トラック運転手には時間がない。電子ログ記録装置によって彼らの休憩時間は監視され、正確に計られている —— そして、そうした休憩時間には給料が支払われない。「もしこの装置を作った奴を見つけることができて、そいつを事務室の椅子に無理やり座らせたまま11時間閉じ込めることができたなら、そいつのすべての行動をチェックして、そいつが好きな時に眠ったり休憩するのを邪魔するんだ……。そうすれば、こうして拘束されながら生きていくことがどんなものか分かるだろう!」とフェリペ・ラミレス氏は言う。生まれながらのキューバ人である彼は、「ずっと前から」フリーのトラック運転手をしている。24年間の運転でメーターには100万マイル(160万キロメートル)を記録しているこの男性は、アイオワ80の駐車場で積んでいたプラスチック管の後方に赤のセキュリティフラッグを付け直した。行き先はネバダ州のリノ。「もう誰もこのクソな仕事をしたがらないね。それに彼らのことは理解している、若者のことは。俺たちはこの生活スタイルが好きだけれど、犠牲が多いんだ。俺の娘は3日前から腸閉塞で入院していてマイアミにいるけれど、俺はここに、道路の上にいる。これが俺の人生なんだ」


© Julien Brygo

 彼の背後ではトラックの博物館が、1927年に遡るゼネラルモーターズの車“Big Brute”の初期モデルで訪問客を迎えている。その建物の奥では、1台のビデオプロジェクターが宣伝用映画を繰り返し投影している。自由、誇り、自律 —— 壮麗なロッキー山脈に太陽が昇る中で、コーヒー入りのマグカップを手に持つトラック運転手の映像だ。カントリーミュージックをBGMに、あらゆる出自の労働者たちが発するメッセージが人々を鼓舞しようとしている ——「アメリカ人のトラック運転手であることを私たちは誇りに思っています」

 一つの年表が、牽引車の歴史上の重要な出来事をたどっている。その年表は1750年の馬車に始まり、もっと後には1896年のフォード社による初の4輪車、1903年のチームスターの誕生、そして重要な年である1980年まで続いている。この年、ジミー・カーター大統領の自動車輸送事業者法(Motor Carrier Act)によって運賃とライセンスに関する国の管理が撤廃され、この部門は市場原理に委ねられたのだ。その年表は1台のトラックのドアの下にいる子どもの写真とともに、このような質問で締めくくられている ——「将来には、我々の身に何が起こるだろうか?」

 「そうね、この未来が無人トラックの未来にならないことを願っているわ」とこの博物館の受付で働くサンドラ・C氏が答えた。「彼らの生活はあのように、すでに十分なほど困難な状況にあります。多くの運転手は月に1度しか家に帰っていませんし、皆が道すがらひどい食事をとっています。見てください、今日は誰もいません。平日はいつもこうです。私の知る限り、たとえここがアメリカ全土で唯一トラック運転手たちに捧げられた博物館だとしても、彼らにはここに来る時間がまったくないのです」



  • (1) 1ドル=0.86ユーロ
  • (2) 1957年からチームスターの組合長で、カリスマ的な存在。マフィアとの関係により1967年に有罪判決を受けたが、1971年にリチャード・ニクソンによって恩赦が与えられた。
  • (3) Lire Norman Jewison, « F.I.S.T., c’est aussi l’Amérique », Le Monde diplomatique, octobre 1978.
  • (4) « Autonomous cars : Self-driving the new auto industry paradigme » (PDF), Morgan Stanley Blue Paper, 6 novembre 2013, Cf. aussi Olivia Solon, « Self-driving trucks : What’s the future for America’s 3.5 million truckers ? », The Guardian, Londres, 17 juin 2016.
  • (5) アメリカ道路交通安全局によれば、2016年には4万人以上がアメリカ国内の道路上で命を落とし、そのうち786人がトラック運転手だった。こうして、この職業はアメリカで最も危険なものとなっている。
  • (6) Quoctrung Bui, « Map : The most common job in every state », National Public Radio, 5 février 2015.
  • (7) Rich Cohen, « The end of the big-rig dream », The Wall Street Journal, New York, 9 février 2018.
  • (8) Lire Rick Fantasia, « Spectaculaire victoire des camionneurs américains », Le Monde diplomatique, octobre 1997.
  • (9) 2018年3月半ば、ウーバーが購入した半自律走行のボルボ車がテンピ(アリゾナ州)で49歳の女性の歩行者をひき殺した。

  • 訳注1]「偽装された」(déguisé)という言葉が用いられる背景として、フリーランスと企業(フリーランスにとって、企業は雇い主ではなく顧客)の間の関係は対等であるべきところ、フリーランスが企業の指示下に置かれ、被雇用者と変わらない“違法な”状態にあることが挙げられる。

  • 訳注2]自動運転に関する説明によれば、レベル4は緊急時にも運転手が対応しないということから、この部分の説明はむしろレベル3の内容を指しているように思われる。

(ル・モンド・ディプロマティーク 仏語版2018年8月号より)