国際メディアの調和を乱すモスクワからの声


マキシム・オーディネ(Maxime Audinet)


パリ・ナンテール大学博士課程在籍、現代ロシア勢力拡大政策の研究者

訳:出岡良彦


 ロシア政府の手駒だという非難を受けたRT(ロシアの海外向け放送局、旧称ロシア・トゥデイ)は、今や世界を舞台にしのぎを削る多数のニュース専門チャンネルの規範と欠陥までもうまく取り込んでいる。RTの視聴者数が米国、さらに欧州で急増しているのは、西側諸国の政策を大っぴらに批判する編集方針によるものであり、RTは地域に応じてそれを変化させている。[フランス語版編集部]



 ロシアが誇る海外向け国営放送局RTは、2015年12月、設立10周年を記念してビデオ・クリップを制作した。ソビエト時代を思わせる制服を着てモスクワ市ボロヴァヤ通りの本社でスタッフの仕事をチェックするニュース専門チャンネルの編集長マルガリータ・シモニャン、「クレムリンから直々に指令を受けている」と言う女性清掃員のリウーバ、シリア戦闘員に扮して空砲を撃つエキストラ、[画像合成用クロマキーの]緑の壁紙を背景にしたスタジオでアラビア語のプロンプターを読むエンベッド従軍[2003年イラク戦争で導入された、前線米軍部隊に記者を埋め込み行動をともにさせる新しい取材方式]記者役の女性ジャーナリスト、じめじめした地下牢でふさぎ込む外国人キャスター、スタジオで手錠を掛けられている英国人キャスターのケヴィン・オーエン、といった人物が登場する。

 RTをクレムリンのプロパガンダの道具とみなしている多数の中傷に答えるため、RTは自虐の手法を選んだ。「パブリック・ディプロマシー」[政府対政府の外交ではなく、広報や文化交流を通じて外国の国民や世論に直接働きかける外交活動]分野でのロシアの遅れを取り戻すために奮闘してきた10年を記念する行事で、ウラジミール・プーチン大統領は「政治家だけではなく、世界中の普通の人々こそが、互いの声を聴くことが重要だ」と述べ、この超国家的放送局に、結局のところありきたりな目標を再提示した。

 クレムリンは、2004年ウクライナで起きた「オレンジ革命」をNGOが介在した西側諸国によるロシアの隣国への介入とみなしているが、これを機に国際的影響力に弱みを持つことを自覚し、外交政策を転回した。翌年には、ロシア・トゥデイ・グループの基盤を築く。「初期の構想は、ロシアだけに焦点を当てた英語のチャンネルを設立することでした。でもそれでは失敗に終わることがすぐに明らかになりました」と編集長シモニャンは振り返る。「視聴者がロシア政治学者とロシア情勢ウォッチャーに限られるなら、当然その数はごく少数になるでしょう」(1)

 2008年ロシア・グルジア戦争の際、西側諸国の主要メディアによる紛争の報道を一方的なものとみなし、それに応酬するためRT編集部はより攻撃的な論陣を張った。当時RTは、「世界的」メディアとなって物事の別の見方を促すことができるように変わることを自らの使命としていた。その頃から、RT放送網の国際化が顕著になる。2007年にアラビア語放送ロシア・アルユーム(Russiya Al-Youm、現在RTアラビック)を開始した後、2009年にスペイン語放送を始め、2010年に米国、2014年には英国でチャンネルを開局し、同年ドイツ語、フランス語視聴者のためのオンライン放送も始めた。今年中にRTフランスを開局する予定も公表されている。

 ロシア国家から多額の資金提供を受け、RTグループは2100名の従業員と19カ国に支局を擁するまでに成長した。仏調査機関イプソス(Ipsos)が2015年11月に38カ国で実施した調査によると、毎週7000万人がRTの放送を見ている。これはBBC(英国放送協会)の海外向け放送に次ぐ視聴者数で、ドイチェ・ヴェレ、フランス24よりも多い。さらに、RTが優先的なターゲットとしている米国と欧州では第5位の国際放送であり、それぞれ800万人、3600万人の週間視聴者がいる。開局以来、予算額は2900万ユーロから10倍の2億9000万ユーロになった。国際放送メディアに支払われている公的基金の4分の1近くを占めている。インターネット配信にも早くから対応し、動画の生中継、360度画像など情報拡散のためのデジタル技術を駆使している。ソーシャル・ネットワークでは多数のアカウントを開設し、ユーチューブを例にとるとRTの全チャンネルを合わせた登録視聴者数は450万人で、情報番組では世界1位である。番組制作に関しては米CNN(ケーブル・ニュース・ネットワーク)をモデルとし、即応性、「最新」ニュースの提供、情報の娯楽性を追求する。RT国際放送の目玉である討論番組『クロストーク(CrossTalk)』はCNNのトークショー『クロスファイアー(Crossfire)』(2014年に休止)から直接影響を受けている。そして2013年に米テレビ局の元スター司会者ラリー・キングを引き抜いたのは大きな成果のひとつである。

 RT編集部の調査によると、西側諸国の主流メディアは50社ほどに上るが(2)、RTは自らをそれに替わる選択肢と考えている。2013年6月、RT社を訪問したプーチン氏は、「われわれは世界的な情報の流れにおけるアングロサクソン系メディアの独占を打ち壊したかった」と説明した。ロシア国際交流会議会長のアンドレイ・コルツノフ氏によると、「[RTの]重点目標は、ロシアの地位向上よりも西側諸国の画一性に疑問を呈し、様々な出来事に対する西側諸国の解釈を相対化することにある」。RTのスローガン、「さらに問え」にも示されているとおりだ。

 西側諸国の公営海外放送は、一方で、株主である国家の利益に適合する情報を流すように政治的に要請されているが、他方では、プロパガンダ機関と映らない程度に明確な独立性を示すことが職業倫理の原則として求められるという矛盾に引き裂かれている(3)。しかしRTは公言どおりに、この矛盾を無視する。2016年11月、BBCワールドサービスの業務拡大の際、BBC会長のトニー・ホール氏は「信頼できて、世界に開かれ、われわれの独立、公平なジャーナリズムのベストを届けるBBC」を目指すと明言した。同様に、フランス・メディア・モンド社長マリー=クリスティーヌ・サラゴス氏は、2016年12月5日号のル・ポワン誌で、フランス24は視聴料と国家予算から出資を受けているが、「政府の放送局ではない」と断言している。

 このようなジレンマに背を向けて、RTのスタッフはロシア国家との結びつきをむしろ歓迎する。2014年、CNNのクリスティアン・アマンプールに、RTがロシアの「ネガティブなイメージ」に対する政府の反論の道具として使われているのではないかと質問され、『イン・ザ・ナウ(In the Now)』というRTの番組司会者で米国人のアニッサ・ナウアイは「何も隠すことはない」とはっきり答えている。さらに、「RTがどこから補助金をもらっているか、みんな知っています。(…)RTがロシア的視点から物事を紹介することが多いですって ? 当然です。ロシア的視点が無視されているからです。それにしても、15年以上前から[米]国務省の見解を広めているようなメディアからそんな質問をされるなんて馬鹿げているわね」と言っている。これはアマンプールに対する皮肉である。というのも、アマンプールは1990年代末、メインリポーターとしてCNNからコソボへ派遣されたのだが、同時期に夫のジェームズ・ルビンは国務省のスポークスマンの職に就いていたからだ。このように、RTの幹部は国際メディアの状況を複数の情報発信体制が共存すべき場であると認識している。2013年8月13日、シモニャンはシュピーゲル・オンラインで「これまでに客観的な報道の例がそんなにありましたか?(…)客観性なんてないのです。発信者の数と同じだけの真実の近似があるだけです」と言い放ち、公平性を宣言するよりも複数メディアの共存を肯定する立場を採っている。

 RTは西側諸国のメディアがほとんど扱わないことを優先して扱う。例えば、米国率いる連合軍の爆撃が続くアフガニスタン戦争にあまり関心は払われていないが、RTは報道を続けている(2017年2月11日)。目下のシリア問題にかき消されているイエメン戦争も定期的にテーマとして取り上げる。今年の2月10日、RTインターナショナル・ニュースはオープニングで、2016年10月に起きたイエメンの葬儀会場への誤爆によって死者140人と重軽傷者を出したと伝えられているにもかかわらず、そのサウジアラビアへの武器販売が続けられていると英紙(4)が暴露したことを取り上げた。

 RT国際部門の編集方針は、世界の多極化と国家主権主義の価値観の推進、大西洋主義と米国の覇権主義傾向に対する批判、あるいは「ロシア嫌い」の告発といったいくつかの重点項目を中心に構成されている。これらの思想を支えるため、「大時計クラブ」(仏右派と極右を考察するサークル)の長老から米国平和主義者に至るまで、RTは様々な専門家の協力を仰いでいる。『ソフィーコ(SophieCo)』という番組にゲストとして招かれる政治家の顔ぶれも党派を超えて種々雑多だ。独連邦議会議員で左翼党の副党首ザーラ・ヴァーゲンクネヒト氏、ドナルド・トランプ氏の国家安全保障補佐官をごく短期間務めたマイケル・フリン氏、オーストリア大統領選の極右候補ノルベルト・ホーファー氏、仏社会党で元外務相のユベール・ヴェドリヌ氏、国民戦線(FN)党首のマリーヌ・ルペン氏などが続く。この番組は世界各地域で力を持つ大物の見解も取材する。パキスタンの元外相ヒナ・ラッバーニ・カル氏、トルコの前大統領アブドゥラー・ギュル氏(AKP公正発展党)、イラン政府の核計画のための交渉人などである。最後に、ロシア政界についての報道も強引な検閲を免れている。というのは、反体制派のボリス・ネムツォフ氏が暗殺された命日さえも2月26日付のニュースで報じたからだ。

 RTインターナショナルの論調は世界各地域のチャンネル、あるいはウェブサイトの論調に影響を受けることはない。RTは、ロシアが影響の拡大を望む国々で既存メディアが取っている論調に対応して報道の方針を変える。RTアメリカは新自由主義や新保守主義的な外交路線の批判を繰り返すが、これはCNNからフォックス・ニュースに至る米国大手ケーブルテレビの論調とはかけ離れている。2月18日に『カイザー・リポート(Keiser Report)』という番組は、ドナルド・トランプ新大統領が投資銀行ゴールドマン・サックス出身者を大統領補佐官と内閣のスタッフとして任命したことを非難した。米情報機関の指導部は大統領選の選挙運動期間中、RTが共和党候補に肩入れしたとして告発しているが、この反ウォール街の論調には注意を示さなかった。これは非常に含みのある例示だ。RTの当初の目的は、クレムリンにとってその単独行動主義者ぶりが懸念材料となっていたヒラリー・クリントン氏を批判することにあった。そのため、元国務長官のクリントン候補と新保守主義者たちとのつながりをアピールし、ウィキリークスと組んでクリントン候補とジョン・ポデスタ補佐官を取り巻く電子メール事件に言及したのだった。

 さらに、左派と目される多くの人物がRTアメリカのトークショーに招かれ、反トランプの立場を表明している。ジャーナリストのエド・シュルツ氏は、民主党の予備選期間中に何度もインタビューに応じてもらったバーニー・サンダース氏への共感を隠さなかった。シュルツ氏の同僚で、2002年ピュリツァー賞を受賞しノーム・チョムスキー氏とも親しいクリス・ヘッジズ氏は、自分も論説委員の一人である非主流系ウェブ新聞トゥルースディグ(Truthdig)で「社会主義者」を自任している。トランプ氏の勝利の数日後に放映された『オン・コンタクト(On Contact)』という自分の番組の中で、ヘッジズ氏は「政治、金融界のエリートが主導する新自由主義の政治に対する大衆の拒否」のサインをトランプ氏の勝利のうちに見ながら、「既に深く蝕まれた市民の自由が、抑制の効かない、容赦のない警察国家に取って代わられるかも知れない」と予見した。最後に、RTアメリカはその「反体制」のアプローチを守り、ライバルのメディアからはほとんど招かれることがない「第3の政党」(緑の党、リバタリアン党)の候補者にも発言の機会を与えていた。

 2000年代初頭から大手国際メディアの戦場となっている近東では、RTアラビックはアル=ジャジーラが支援した(5)「アラブの春」によって引き起こされた不安定な状態を嘆き、米連邦議会が出資する[アラビア語衛星テレビ放送]アル=フッラがひっそりとしか伝えない近東地域での西側大国の軍事介入政策を非難している。

 主権国家の内政に対する米国の干渉を批判するのも、特にメキシコ、アルゼンチン、ベネズエラで勢いのあるRTスペイン語放送が得意とするところである。明確に支持の姿勢を示しているラテンアメリカの左派と歩を揃えて、反帝国主義、反自由主義の言説を流している。RTスペイン語放送にレギュラー番組を持つ研究者ジョン・アッカーマン氏によると、エクアドル大統領ラファエル・コレアの後継者であるレニン・モレノ氏が2017年2月の大統領選第1回投票で期待以上の結果を収めたのは、「ラテンアメリカでは急進政府の流れは終わっていない」ことの証である。RTスペイン語放送はベネズエラが喘ぐ経済問題に関しては、「[大統領ニコラ・]マドゥロに対する経済戦争」であるとし、この危機の全責任を反政府派に押し付けているようだ。とはいうものの、ベネズエラの「財政運営のまずさ」における政府の役割に対して、『エル・ズーム』(2016年12月14日)という番組は疑義を挟んだ。

 RTのフランス語ウェブサイトは、他のRTヨーロッパ支局と同様に、より保守的な様相をはっきり出している。経済、社会問題はそれほど扱わず、ロシアのマルチメディア機関として、治安問題をテーマにすることが多い。2016年1年間で、失業を扱った記事1件につきテロについての記事が17件の割合だった(ル・モンドでは2件、フィガロでは1.7件の割合(6))。RTは大統領選の「弱小」候補に他のメディアと比較して多くのスペースを割いているが、このバランス調整は「服従しないフランス」のジャン=リュック・メランション候補より、国家主権主義でド・ゴール主義のニコラ・デュポン=エニャン候補に味方している(7)。英国でも理屈は同様で、イギリス独立党(UKIP)党首のナイジェル・ファラージ氏は「ブレグジット」(英国の欧州連合離脱)のキャンペーンよりずっと前の2010年から2014年の間にRTに17回出演していた(8)

 仏大統領選においては、RTのウェブサイトはフランソワ・フィヨン氏(仏では「親露派」と紹介されることが多い)の政界スキャンダルも、同氏の遊説先で敵陣が浴びせる鍋を叩いての抗議も包み隠さず掲載する。同サイトはルペン氏に欧州議会議員秘書の架空雇用の嫌疑がかけられていることも扱っているが、ルペン氏の弁護士の声明と国民戦線のプレス向けコミュニケ(2017年2月17、20日)にかなりのスペースを割いてもいる。これはRTが国民戦線候補の政策方針に特に賛同していることを示し、仏外交政策についてのルペン氏のヴィジョンを紹介する記者会見をノーカットで掲載している。そのなかでルペン氏は、「ロシアを欧州大陸へ組み入れる」ことを望んでいると言及した(2017年2月23日)。

 RTの反自由主義路線に則って、「前進!」の候補エマニュエル・マクロンが最も冷遇されているのは確かだ。同候補の「反体制」の姿勢を「唖然とする経済学者[新自由主義に反対する仏経済学者グループ]」メンバーのダニー・ラング氏の声を借りて(2017年2月3日)「まったくのぺてん」呼ばわりし、嘲笑する。しかし、RTの兄弟分であるマルチメディア型の国営通信社スプートニクで、仏共和党員2名が種をまいたマクロン氏のゴシップが破廉恥であることは認めるとしても、ロシアから脅威を受けていると騒ぎ立てる同候補が、その「執拗」さを訴えるほどの話ではない(9)

 RTは西側諸国での社会的なものを含む抗議活動をことのほか好んで取り上げる。警察との対立、割られたガラス、火事といったスペクタクルな画像が撮れて、「ショッキング・ビデオ」の「ベスト編」(2016年12月30日)に使える場合は特にそうである。米国でも、「ウォール街を占拠せよ(Occupy Wall Street)」、「黒人の命だって大切だ(Black Lives Matter)」、さらに最近では反トランプのデモ行進といった大規模な社会運動を喧伝する。このような画像によって西側社会の分裂を強調しているのだ。仏伊国境の谷ラ・ロワイヤで移民を保護する農民セドリック・エルーの闘争も(2017年2月10日)、国民戦線を模した党から市議会選に出馬した登場人物の選挙活動を描いたリュカ・ベルヴォー監督の映画『ここはわたしたちの土地(原題Chez nous)』に対して、映画のロケ地エナン・ボーモンの国民戦線党員が実際に作った「そうとも、ここは俺たちの土地さ」というプラカードも(2017年2月22日)RTのウェブサイトは載せている。そして自由民主主義は大混乱に瀕している、あるいは「内戦」寸前の状態である(2017年1月12日)と指摘する。さらにRTは産業界の事故を頻繁に報道するが、それは不安を煽るフィルターを通した報道である。仏フラマンヴィルの原子力発電所の機械室で発生した火災(2017年2月9日のテレビニュース)、独ハンブルグ空港の刺激性ガスによる50例近くの呼吸器系中毒(2017年2月12日)などだ。それはロシアを西欧と米国から隔てる技術の溝を相対化する手法であり、この溝はロシアのエリートたちにとっては中心的課題になっている。

 米国が関与している戦争期間中の米国にとってのCNNのように、ロシアにとって戦略上重要な関心事となる戦闘を報道する場合にRTはプロパガンダ機関となり、事件の公式見解を国際放送で熱心に繰り返し伝える。シリアでは、バッシャール・アル=アサド大統領に何度も出演の機会を提供しているが、アレッポでの戦闘の結末がロシアと欧州間の情報戦の深い対立を明確にした。シリア政府軍によるアレッポ市街地奪回後、RTはアレッポ西部の住民の歓喜を放送したのに対し、西側諸国のほとんどすべてのメディアは東部住民が置かれた人道的状況にフォーカスしたのである。その逆に、RTに招かれた元英国外交官は、米国率いる連合軍の支援を受けたイラク部隊がモスル(イラク)を奪回する戦いの際に生じた「市民犠牲者」についてコメントしている。

 皮肉な話であるが、NATOは2014年1月、ラトビアの首都リガにおいて戦略コミュニケーション・センターの開所式を行った。このセンターの前身組織は、特に旧ユーゴスラビア戦争の間、真相への配慮からほとんど明るみに出ることはなかったが(10)、今後は「事実チェック(fact-checking)」という流行の技術を使って最大の敵ロシアの「情報工作活動」を解体することを目標に掲げている。

 これに対抗して、RTは「虚偽チェック(FakeCheck)」というサイトを開設した。そのサイトでは、シリアの反乱地域で働くシリア人救急隊員を描き、オスカー賞を受賞したドキュメンタリー映画『ホワイト・ヘルメット―シリアの民間防衛隊―』(原題The White Helmets)を告発している。数本のビデオを根拠に、RTはこの組織がジハーディストのグループと関係を維持しているとし、西側諸国から資金を得ていると糾弾する。RTのスタッフは、プロパガンダと非難されてもそれを自分たちの利にすることにとりわけ長けている。プロパガンダだと非難されることで、「反体制」メディアという自分たちのアイデンティティをより強固なものとし、「孤軍奮闘」するイメージにものを言わせて反体制派の視聴者を集めることができる。開局10周年のビデオ・クリップの締めくくりで、マルガリータ・シモニャンはくちびるに笑みを浮かべ、見ている人に問いかける、「どうです、このビデオ。RTのことをこんなふうだと思っているでしょ? その通り、まさしくこれがわたしたちのやり方です!」




  • (1) « Lunch with the FT : Kremlin media star Margarita Simonyan »、2016年7月29日付フィナンシャル・タイムズ紙、ロンドン
  • (2) ル・モンド、フィガロ、リベラシオン、TF1、フランス・テレビジョン、フランス・カナル・プリュスなど。http://msm.rt.comに全リストがある。
  • (3) «Les médias, un instrument de diplomatie publique», Cyril Blet, Revue internationale et stratégique, vol. 2, no 78, Paris, 2010.
  • (4) « Boris Johnson urged UK to continue Saudi arms sales after funeral bombing », Alice Ross , 2017年2月10日付ガーディアン紙、ロンドン
  • (5) « Et l’étoile d’Al-Jazira pâlit », Yves Gonzalez-Quijano, ル・モンド・ディプロマティーク2012年5月号参照
  • (6) ル・モンド、フィガロのデジタルデータベースとRTのウェブサイトでル・モンド・ディプロマティークが数えた結果による。
  • (7) 2016年9月1日から2017年2月13日の間でル・モンド・ディプロマティークが数えた結果によると、RTでは「立ち上がれフランス」党の党首ニコラ・デュポン=エニャン候補の名前は、最もよく出てくるフランソワ・フィヨン候補の6分の1の頻度であるのに対し、フィガロでは20分の1、ル・モンドでは28分の1、リベラシオンでは43分の1である。メランション候補の頻度は、フランス語版RTではフィヨン候補の2.3分の1であり、ル・モンドとフィガロの3.3分の1とさほど違わない。
  • (8) « Nigel Farage’s relationship with Russian media comes under scrutiny », Patrick Wintour et Rowena Mason, 2014年3月31日付ガーディアン紙
  • (9) «Ne laissons pas la Russie déstabiliser la présidentielle en France ! », 2017年2月14日付ル・モンド紙参照。
  • (10) «Médias et désinformation», Serge Halimi et Dominique Vidal, ル・モンド・ディプロマティーク2000年3月号参照。



(ル・モンド・ディプロマティーク2017年4月号)