ユネスコ事務局長官房からの書簡(抜粋)


 下記は、本紙9月号掲載の「ユネスコ松浦改革を問う」に対し、ユネスコ事務局長官房からフランス編集部に送られた抗議書簡のうち、仏語版10月号に掲載された主要部分の和訳である。なお、ユネスコ本部の改修工事に関しては、関連の囲み記事を日本語版には掲載していない。[日本語版編集部]

 ル・モンド・ディプロマティーク9月号に、「ユネスコを救うための沈黙の反抗」と題する長文記事(邦訳記事名「ユネスコ松浦改革を問う」)が掲載された。(・・・)ガブリエル・カプラ氏は、その調査において、主として2008年の終わり、および2009年6月に出回った二つの匿名文書に依拠している。この記事の筆者は、それらに含まれる情報が正確かどうか確認しようともせず、それらが流されたときの状況を明示しようともせずに、これらの文書が「幹部層と接触のある職員の一部」の意見を表したものだとして済ませている。それ以上の詳細も述べず、事務局や執行員会、会計検査部の公式資料と同格に、これらの文書を扱っている。(・・・)

 この記事は多数の事実誤認を含んでいる。その例としてとくに挙げたいのは、松浦が事務局長に就任するや、ユネスコの人事規則を無視して50ほどの幹部ポスト廃止を決定し、ILO(国際労働機関)行政審判所に「何度となく」是正命令を下されたとの言明である。実際には、事務局長が幹部ポストに関して1999年に行ったのは、その数や事務局予算を定めた総会の決議に沿うよう、ポスト数を抑える努力だったのである。また、ILO行政審判所に出された審査請求のうち、ユネスコに非があると認められたのは、わずか2件にすぎない。

 他方、ユネスコは現事務局長の主導のもと、遂行された業務や取り組まれた改革に関する統制を向上させるための評価・透明性の文化を備えるようになった。この点に関しては、記事にも引用されている会計検査院のレポートそれ自体が、こうした前向きな変化を裏づける証拠となっている。これらの会計検査レポートはユネスコ執行委員会に提出されたものであり、それらにもとづく具体的な勧告の実施は、執行委員会によって定期的に検査され、事務局長によって誠実に進められていることも、知っておいていただきたい。

 たとえば、ユネスコ本部の改修工事について、ユネスコの会計監査を行っているフランス会計検査院の会計検査レポートでは、財務上の不正は一切ないと結論しており、同検査院のフィリップ・セガン院長も、執行委員会において同様の点を口頭で述べていることを、指摘することができる。この会計検査の結論も貴紙読者に知らせておく意義があったのではないだろうか。本件に関しては、ユネスコ職員の氏名が記され、その職務上の厳正さに疑義が付されているにもかかわらず、本人に意見表明の機会が与えられなかったことも、まことに遺憾である。

 最後にもう一点、事務局長がユネスコのトップとして2期にわたって取り組んできた改革行動は、執行委員会および総会の様々な会議の席で繰り返し、加盟諸国からつねに変わらぬ支持を得てきた。この点について考慮に入れず、なんら言及しないカプラ氏の記述は全体として、ユネスコの現状を示すことよりも、否定的な総括を行うことを目的としているように見受けられる。

(2009年10月号、和訳は2009年10月26日にアップロード)