イギリスの動物擁護ゲリラたち

セドリック・グヴェルヌール特派員(Cedric Gouverneur)
ジャーナリスト

訳・近藤功一

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 アメリカでは、政府当局が製薬会社とバイオテクノロジー企業に対し、動物擁護団体から襲撃のおそれがあると注意を促した。FBIはこれら急進派のエコロジストを「エコテロリスト」と名づけた。イギリスでは、非合法集団が動物を搾取する者に躊躇なく攻撃をかけている。ここ4年来、まさに世界をまたにかけた闘争の焦点となっているのが、ヨーロッパ最大の動物実験施設、ハンティンドン・ライフ・サイエンス(HLS)だ。環境ゲリラたちは、犠牲にされている動物を解放するために、株主、顧客、出入り業者を執拗に攻撃することで、HLSを倒産に追い込もうとしている。[フランス語版編集部]

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 「合成繊維製」のスリーピースを着たロビン・ウェブ氏の身なりは申し分なく、映画『12モンキーズ』(1)でブラッド・ピット演じる動物園のいかれた解放者というよりも、温厚な年金生活者のようにみえる。しかし、ノッティンガムのパブで我々を迎えてくれたこの男は、スコットランド・ヤードやFBIのテロ対策部門から追い回されている非合法グループ、動物解放戦線(ALF)の公式スポークスマンである。「ALFは無敵だ。国家は思想を監禁することはできない」と、25年前の「ある朝、食肉処理場の前を通りかかったとき」から厳格なベジタリアン闘士(2)になった元組合活動家のウェブ氏は語る。「動物を救うため、または動物を虐待する人の所有物に損害を与えるために、ガラス割りや放火といった行動を起こす者は誰でも、動物も人間も絶対に傷つけることのないかぎり、インターネット上でALFを名乗った犯行声明を出すことができる。ALFはその代わり、逮捕された場合には支援する」。ALFは分散型組織であって警察の潜入は困難であり、したがって解体も難しい。「アイルランド共和軍(IRA)も同じように独立した細胞組織によって機能している。とはいえ、IRAには特定可能な中枢の指揮系統がある。ALFはそれとは全く異なる。私を逮捕して私一人を黙らせても意味がない」と、1995年に7カ月間にわたり収監されていたスポークスマンは自賛する。

 組織が生まれた1976年以来、約200人の活動家が数千件の違法行為により投獄された。ALFは幾人もの「殉教者」さえ出しており、その中には毛皮専門店への襲撃で18年間の刑に服し、2001年11月にハンガーストライキで獄中死したバリー・ホーンがいる。ウェブ氏の表現によると、「自身で身を守れないものの自由の名の下に」、つまり動物のために命を落としたのだ。

 動物の権利に関する問題について、イギリスは常に先を歩んできた。世界で初めて動物保護団体と動物虐待禁止法ができたのは、1820年代のイギリスにおいてである。1840年創立の王立動物虐待防止協会(RSPCA)は昨年、約30万人から8000万ポンド(約160億円)の寄付金を集めた。

 この勢力にはあらゆる社会階層出身の活動家がおり、その一部が実力行使に出たのは1960年代に遡る。1963年にイギリス南部で狩猟妨害協会(HSA)が創設された。「動物を救い、議会に狩猟禁止法を作らせるために、狩るものと狩られるものとの間に介入するという活動だった」とウェブ氏は述懐する。「1973年、ロニー・リーを中心とした小さなグループが、ハンターの車への放火を始めた。その後、彼らは生体解剖の研究所や毛皮専門店への活動拡大を目指し、『慈悲軍団』と自称した」。3年後、非合法活動家たちはALFという頭文字を選んだ。「解放戦線は、ラテンアメリカとアイルランドにも分派した。ALF にとって暴力行動は、短期的にみて正義を得るための正当な手段たりうる。イギリスでは、奴隷廃止運動や女性の権利を擁護する婦人参政権運動家も、同様に非合法手段に訴えた。ALFはアルフレッドの愛称でもあり、電話盗聴を攪乱する利点もある」

 ALFとその活動家の狙いは、テロや脅迫により、「動物の搾取」が経済的に引き合わなくなるほど警備コストを上昇させることだ。数百人の活動家がこうした大義の下、法の外に足を踏み出す用意がある。違法行為の意味は一目瞭然である。肉屋のガラスケースの破壊、「熱湯で茹でられるロブスター」を救うための魚屋襲撃、食肉処理場や毛皮専門店への放火、サーカスや動物園への嫌がらせ、覆面のゲリラ隊によるミンク飼育場への攻撃とミンクの解放(この捕食動物の襲来による周辺の動物相への被害は度外視)、生体解剖の研究所や畜産農場での略奪行為、それらの従業員に対する自宅前での嫌がらせ、ガラス窓への投石、車の破壊、それに食肉専用冷蔵車への放火などだ。アメリカや北ヨーロッパで、ALFは定期的にこういった種類の行為の犯行声明を出している。

 これらの動物のための行動は、時として一層暴力的な形をとる。1999年10月、武装した複数の男が、ALF活動家について調査していたテレビ局チャンネル4のジャーナリスト、グレアム・ホールを誘拐した。彼の背中には、真っ赤に熱した鉄で、ALFという3文字の焼き印が押された。2000年2月には、ハンティンドン・ライフ・サイエンス(HLS)社の株主に爆弾を仕掛けたとの予告があり、シティで働く数千人が避難した。2001年初めには、HLSのブライアン・キャス会長と幹部1人が覆面ゲリラに襲撃された。また、爆弾が仕掛けられた手紙で畜産農家や6歳の女の子が負傷している。他にも動物を苦しめる加害者や共犯者が、殺してやるとか子供を誘拐するといった脅しを受けた。誰それは小児性愛者だという手紙を周囲の人々に送りつけられた者もいる。

残忍な動物実験

 2つのエコウォリアーズ集団、動物の権利義勇軍(ARM)と正義省(JD)は動物虐待者に対し暴力に訴えることを推奨する。おそらく同一のエコロジストがALFやARM、あるいはJDのメンバーとして活動し、実行した行動に応じてどこから犯行声明を出すか選んでいるのだろう。生命の危険を恐れて、2000人近くの企業トップがイギリス政府に対し、商業登記簿からの自宅住所の抹消を願い出て許可された。しかし「負傷した女の子の惨事によって彼らの大義は傷つき、過激主義者は以後、人身を標的にすることを控えるようになった」と、動物実験のロビー組織である研究擁護協会(RDS)の専務理事で、潜在的な標的となっているマーク・マットフィールド氏は穏やかに言う。「彼らの行為はむしろ脅しの部類だ。彼らが人を殺したことはない」。この闘争による死者は、ハンガーストライキで死んだエコロジストのバリー・ホーンの他は、2人の狩猟妨害協会メンバーと、1990年代に生体家畜の輸出への反対デモの際に車にはねられた女性だけである。

 30年にわたる闘争で、動物解放運動はめざましい勝利を収めてきた。イギリスで毛皮のコートを見つけることはほとんど不可能となった。ここ数年でいくつかの実験用の犬や猫の飼育会社が倒産に追い込まれた。2004年1月、ケンブリッジ大学は霊長類への残忍な実験(3)にかかわる神経学研究所の計画を断念せざるを得なくなった。バリー・ホーンの友人で、爆発物の所持で4年間の刑に服したメル・ブロートンは、計画に協力する企業に対するインターネットを通じた圧力キャンペーンを組織した。3年間で、この計画は単なる研究所の建設から要塞の建設へと変わり、必要な費用は2400万ポンド(約48億円)から3200万ポンド(約64億円)へと跳ね上がった。ケンブリッジ大学の理事会の手に負える金額ではなく、計画は放棄された。研究活動の発展に気をもむブレア首相には打撃だった。マットフィールド氏が言うには「患者にとって暗黒の日」であった。

 エコロジストであるブロートンは、オックスフォードでも同様の計画を失敗に追い込もうとしている。「彼らは年1回のデモになら慣れてしまう。しかし、株主や出入り業者への恒常的な圧力となれば別だ」と彼は説明する。この3月に動物擁護団体から接触を受けた土木建設企業トラヴィス・パーキンズ・グループは、その後すぐにオックスフォードの計画から手を引いた。

 しかし環境ゲリラの最大の敵は、有刺鉄線が張り巡らされた城砦で、彼らが4年来攻撃を集中させているHLS社だ。彼らが強制収容所にもたとえるヨーロッパ最大の生体解剖施設は、今なお活動を続けている。「私は自分がしていることに信念を持っている」と20年来のALFの宿敵、ブライアン・キャス会長は我々に語った。「動物実験の恩恵は患者にとって否定すべくもない」と主張する。このケンブリッジシャー州のセンターでは、世界の産業のために毎年7万匹の動物が実験台に使われている。「85%が魚と齧歯類だ。犬や猿は全体の1%にすぎない」とHLSの幹部は詳述する。それでも、700匹の動物がひどい扱いを受け、犠牲となっている計算だ。

 1996年、ジャーナリストのゾエ・ブロートンはHLSの助手の仕事を手に入れた。彼女の白衣の下には、小型カメラが隠されていた。1997年3月、チャンネル4は6カ月に及ぶ調査結果に基づき、「これでは犬の一生だ」と題したドキュメンタリーを放送した。視聴者は、実験助手たちが同僚の無関心な視線の下で、採血のためにビーグル犬を叩くのを目撃することになる。選挙運動まっただ中の労働党は年金基金によるHLSへの出資を引き揚げ、HLSの顧客企業は契約を破棄した。2人の従業員が解雇され、告訴された。イギリス政府は同社への動物実験の許可を6カ月にわたって停止した。経営陣は解任され、試験機関コヴァンスを率いていたキャス氏が会長に指名された。

 HLSは我々の取材を受け入れた。我々が訪問したとき、犬はきちんとした扱いを受けているようにみえ、撫でてもらおうとして走り寄ってきた。しかし、そのうち1匹は近づくと怯えた。檻は清潔で、互いにコミュニケーションを持てるように、2つずつ並べられていた。ビーグル犬は、1日30分の散歩の時間を与えられている。ただし場所は廊下である。実験助手は配慮を見せているが、それは非常に相対的なものでしかない。彼らは毎日、薬物を餌に混合したり、吸引用のマスクに仕込んだりしているのだから。一部の例外を除き、ここの動物は死後剖検のために安楽死させられる。これらの犬は、生涯にわたって野原を走り回ることはない。「もちろん、犬たちは頼んで連れて来られたわけではない」と、1997年のスキャンダルの後ここにやって来た研究者は言う。「しかし、我々は動物たちを最大限に良く扱っている。いずれにせよ、ストレスがあれば、試験の結果がゆがめられてしまう。ここでは誰も犬をモルモットのように使おうなどと思わない。しかし他に選択肢がないのだ」と彼は断言する。

実力行使の標的

 「我々は犬の代わりにミニ豚の利用を進めている。しかし1960年代から研究用に使ってきたビーグル犬についての方が、多くのデータを保有している」ともう一人の研究者が説明する。「今のところ、豚の利用を進めることは広報的見地からは好ましいが、科学的見地からは好ましくない」とある幹部が付け加える。キャス会長は、槍玉に挙げられている苦痛は相対的なものにすぎないと言う。「毎年この国で300万の動物が実験用に殺されているが、食用に殺されている動物は7億5000万にのぼる。こうしたことはすべて文化的なものが密接にかかわっている。朝鮮半島では犬を食べるし、イギリスでは孤児の福祉よりも年老いた競走馬の福祉の方に多くの寄付が集まっている。それに、実験の条件はここの方がフランスよりずっと良い」。化粧品産業の影響力が強いフランスとは異なり、イギリスでは政府が1997年以来、化粧品開発のための動物実験を禁止している。

 しかし、HLSで特に残忍な実験が続いていたことが明るみに出た。例えばフロンガスが禁止されてから15年後の2003年に、このガスを使った犬の実験が行われていた(4)。また複数の情報から、日本企業の依頼による骨のための医薬品の試験として、37匹の犬が脚を折られたことも確認されている。

 HLSは、医薬品や工業製品を市場に出す前に、人体と環境に好ましくない影響を予防するために、2種類の哺乳類(大抵はねずみと犬)で試験することが、法律によって義務づけられていると主張する。現実はより複雑である。イギリス内務省の情報筋は、サリドマイドの惨事(5)を受けて1968年に生まれた薬事法を引き合いに出した。「規定では、信頼できるデータが他の方法で収集できるならば、動物への試験を強制していない。だが動物への試験が、人間にとって効果的で安全な製品を発売するためには必要な段階だという強力な推定が存在する」。それは強力な推定、もっともらしさにすぎず、科学的な確証ではない。生体解剖反対論者は、人間に副作用が出ても動物には全くない薬剤もあれば、その逆パターンの薬剤もあるという例を示してみせる(6)

 ロバート・コンブス氏は、医学的動物実験代替基金(FRAME)の理事として、中期的に動物実験を廃止していくために代替案を研究するグループを率いている。その資金は動物擁護団体だけでなく製薬会社からも受け取っているため、FRAMEはALFから「正当な標的」とみなされている。コンブス教授によると、動物実験が必要という考えは、「科学的保守主義」によるところが大きい。「基礎研究では、代替案には関心が向けられない。情報技術を使ったシミューレーションには大きな可能性があるのに、開発は進んでいないのだ」。動物実験の必要というのは、主に経済的なものだ。「日本やアメリカでは動物実験が義務となっている」と彼は説明する。内務省の情報筋の発言も、「企業は商品を複数の経済圏で販売しようとし、それに応じた試験を実施する」と、これを裏づける。コンブス教授は「動物に対する試験が簡単に実施できるのに対し、資金の集まらない代替案の優先順位は低い」と付け加える。

 製薬産業は、生体解剖の「悲しき必要性」を謳うが、代替案に投資することには非常に消極的だ。HLSはFRAMEに名目的な金額を出資して、このことを巧みにメディアに売り込んでいる。HLSに試験を委託する顧客企業は、収益の論理で動く。人間の健康や環境に引き起こされる予想外の事態に対しては、法律を守ることで予防線を張りつつ、最も低いコストで世界市場に製品を投入するということだ。

 生体解剖に反対する動物擁護ゲリラにとって、HLSは打倒すべき象徴となった。団体組織「ハンティンドンの動物虐待ストップ(SHAC)」は、ウェブサイトでHLSと協力関係にある企業名を公表し、メールやファックスを送ったり、電話をかけたり、切り刻まれた犬の写真を掲げてオフィスの前で定期的にピケを張ったり、といった行動を呼びかける(7)

 その次の段階は、HLSの幹部の自宅前での夜半のデモや、時には財産や人身への暴力行為である。というのも、職員の住所もネット上に流れているからだ。SHACの責任者グレッグ・エイヴリー氏が暴力行為によって何度も有罪判決を受けているのは事実だが、SHACはALFと異なり、公式には「非合法活動を奨励も助長もしていない」という。オックスフォード・ストリートで会ったエイヴリー氏は、請願書に署名を集め、SHACへの寄付金を募っているところだった。彼が言うには、「ヒルグローヴ(1999年に倒産に追い込まれた実験用の猫の飼育会社)の閉鎖によって、どのように株主を狙えば目標に到達できるかが明らかになった」。バークレイズ、HSBC、オラクル、メリルリンチ等々、HLSの株主は嫌がらせを受け、従業員の安全を懸念して、一社また一社と出資を引き揚げていった。

硬直化した2大政党制の国で

 2001年1月、同様の圧力を受けた王立スコットランド銀行も手を引いた。HLSはアメリカの投資会社、スティーヴンス・グループのおかげで危ういところで倒産を免れた。2002年、HLSはSHACの追撃を逃れるためにシティを離れ、株主の匿名が認められるニューヨークのナスダックに上場した。しかし、今度は監査会社のデロイト&トウシュが狙われ、協力を見合わせざるを得なくなった。それから少しして、HLSの保険業者マーシュ&マクレランも同じ運命をたどり、イギリス政府が直接HLSの保険を引き受けなければならなくなった。日本の顧客企業も、ロンドン、東京、スウェーデン、スイス、イタリアなどで嫌がらせを受けている。

 2003年9月25日の夜、カリフォルニアで「革命細胞」なるグループから犯行声明が出された爆破テロによって、HLSの顧客である日本企業の事務所が大きな被害にあった。イギリスのセンズベリー科学大臣は製薬産業をなだめるために日本に飛び立った。シティは、研究部門を脅かす「投資テロ」だと言って、SHACに都合の悪い情報を手に入れるために報奨金の提供を計画している。フィナンシャル・タイムズ紙は株式市場を応援して、「カール・マルクス、ドイツ赤軍派、赤い旅団が失敗した企てを、一握りの活動家がうまくやってのけた」と書いた。

 キャス会長によると、HLSは2003年に約10万ポンド(約2000万円)を支払って、デモ隊が会社の事務所や職員の自宅に近づくことを禁止する裁判所命令を勝ち取った。顧客企業も同じようにした。SHACはこの障害を回避して、裁判所への差し止め請求に必要な2万ポンド(約400万円)を支払う力のない「二次的な標的」に狙いを定めるようになり、暴力行動の数は倍に増えた(2004年の初めの3カ月で46件)。

 4カ月のうちに、22の企業がすでにHLSとの関係を断ち切った。いくつかは、幹部や顧客を送迎するタクシー会社のように、HLSとは僅かな関係しかない。マットフィールド氏は、標的にされた400人の所在を調べ、犠牲者の会を作ろうとしている。「何人かは神経衰弱に苦しんでいる。家族は怯えきっている」。ハンティンドン選出の保守党議員、ジョナサン・ジャノグリー氏は、フーリガンの取り締まりをモデルとして、取り締まりを強化することを求めている。「このテロリストたちは、民主主義の原則を攻撃しているのだ」と断言する。

 動物解放運動にとって、自分たちの実践していることは、代議制民主主義の惰性を前にした「参加型民主主義」と呼びうるものである。「1997年の選挙に勝つ前、ニュー・レイバー(新生労働党)は動物擁護論者に対して数多くの公約をした。彼らはそれを破ったのだ」と、ケンブリッジ大学の研究所計画を挫折に追い込んだメル・ブロートンは述懐する。「バリー・ホーンはブレアに自身の綱領を思い起こさせるために、ハンガーストライキをして死んだ。政治家は、行動を起こすには少数の実力者に密着しすぎている。民衆の直接行動こそが、彼らに政策の実施を迫ることになるのだ」

 産業グループによる圧力を前にして、動物擁護論者の行動は、政策決定を左右するようになる。マットフィールド氏も「彼らの合法的なデモ行動によって、議論が活発になり、この国が1986年に世界で最も厳しい動物実験に関する法律を制定することになった」と認めている。同様の流れの中で、イギリス政府はエコウォリアーズに対する取り締まりを強化する一方、動物実験の代替案に関する大規模な国立研究センターを創設することを約束している。

 新自由主義化したブレアの労働党と、サッチャーの流れを汲むウルトラ右派という限られた選択肢しかない硬直化した2大政党制の国で、世論の一部は自分たちの代表がいないことに苦慮している。こうした意味において、動物の擁護を唱えるエコロジストの(ただし暴力によらない)行動は、イギリスの議会民主主義を動かしていく可能性、そして、崇高な大義を擁護する可能性を示している。

(1) クリス・マルケルの短編映画『ラ・ジュテ』に着想を得たテリー・ギリアムの1995年の作品。主演はブルース・ウィリス、ブラッド・ピット。
(2) 400万人のイギリス人がベジタリアン。そのうち肉、卵、牛乳、バター、チーズ、皮、羊毛といった動物から取れる製品を一切消費しない厳格なベジタリアンが約25万人。
(3) 猿の頭蓋を意識のあるまま切り取り、電極を脳に差し込み、ニューロンの働きを研究する。1日6時間、週5日間行う。この実験の支持者は人間と猿の類似性を引き合いに出し、反対者はその類似性こそが、倫理的に容認しがたい苦痛をもたらすのだと説明する。
(4) The Observer, 20 April 2003.
(5) この薬は1957年の医療上の惨事の原因となった。妊婦に処方されたサリドマイドによって、数千の腕のない子供が生まれた。このことは生体解剖反対論者にとって、動物実験では何も明らかにできなかったことの証明である。反対にその支持者は、動物実験の件数が不十分だと残念がる。
(6) 生体解剖の代替案については、http://www.experimentation-animale.org を参照。ヒト細胞の培養や情報技術を使ったシミュレーションなど。
(7) http://www.shac.net/

参考

(2004年8月号)

All rights reserved, 2004, Le Monde diplomatique + Kondo Koichi + Okabayashi Yuko + Saito Kagumi

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